重症熱性血小板減少症候群 SFTSとは
最近ニュースになっている重症熱性血小板減少症候群 : Sever Ferver Thrombocytopenia Syndrome=SFTS ですが、恥ずかしながら全く不勉強だった為、同じくウイルス発症して血小板が減少するITPと似た疾患かな・・・程度の認識でした。調べてみると、2011年中国で報告されたのをキッカケに知られることになったこの疾患ですが、昨年日本でも海外渡航歴の無い方が死亡された事で話題となっているようです。
大雑把には、『草むらにいるダニからヒトへ感染する新種のウイルスが、日本でも見つかりました。致死率は少し高いです。』
ということです。
正直なところ疫学的に 1例というのはとても少ないので、草むらに注意するよりも交通事故に気をつけた方がよっぽど良いと思いますが、報告当時話題にも登らなかったHIVが世界を席巻した例もありますから・・・。
原因ウイルスのSFTS Virus(以下SFTSV)はRNAウイルスでブニヤウイルス科フレボウイルス属。ブニヤウイルスといえば、コンゴ出血熱のCCHFVやハンタウイルスも確かブニヤウイルスだったと思います。 推定致死率10%の報告を鑑みると対策が必要と言われるのも頷けます。
盲目的に 『コンゴ出血熱 → 対処療法&リバビリン』 と暗記してしまっていますが、2013年1月現在このSFTSVに対するリバビリンの有効性は証明されていないようですね。国立感染症研究所も、対処療法を推奨しているようです。確定診断はRT-PCRによるSFTSV遺伝子検出&SFTSVに対する血清IgG抗体価、中和抗体価の有意な上昇を認める例ということで、NIIDが引き受けるようです。
厚生労働省にSFTSの報告要件があがっています。
38 度以上の発熱と消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血のいずれか)を呈し、血液検査所見で血小板減少(10 万/mm3未満)、白血球減少(4000/mm3未満)及び血清酵素(AST、ALT、LDH のいずれも)の上昇が見られ、集中治療を要する、若しくは要した、又は死亡した者。 |
うーん・・・ 空気を読まなければいけないようです。
報道では散々ダニに対する対策を列挙していますが、人から人への接触感染があると報告されている1) ので、標準予防策の方が大切な気がします。 調子が悪く熱を出されている方が近くに居たら、あまり接触しない事が大切かもしれませんね。
1) Tang X, et al., J Infect Dis ahead of print. 2013