GITZO GT2542T 梅本製作所SL-50ZSC 三脚と雲台の話
デジタルカメラの感度ノイズ処理が進歩したことで、最近は三脚不要論を唱える方が多くなった気がします。でも、三脚がなければ長時間露光や正確な構図決めは出来ませんし、あると非常に便利な道具です。仕事を手伝っていたレンズ精査と違って・・・三脚は全くの門外漢ですが、少しだけ三脚について書きたいと思います。
自分も何本か三脚を使ってきましたが、今はトラベラー2型(GT2542T)と梅本製作所の中タイプ自由雲台(SL-50ZSC)に落ち着いています。
GITZO4型やハスキー3段、ジオカルマーニュ等も素晴らしい三脚ですが、都内で公共交通機関を使って移動する事を考えると、この辺りが良い落とし所だと感じています。
(余談ですが・・・ハスキーは完全国内生産らしいですね。2010年以前(?)はクイックセット社のハスキーを輸入してトヨ商事が検品&加工し、精度を確保した後に市場へ流通させていましたが、どんな経緯があるのか・・・現在ではトヨ商事がハスキーを作っているらしいです。自分は最近まで輸入加工品と勘違いしてました。)
トラベラー2型(GT2542T:4段目は畳んでます)+梅本製作所SL-50ZSC
トラベラー2型4段は定番中の定番なので割愛しますが、他の方が仰るのと同様に自分も素晴らしい三脚だと感じます。固定性重視の利用、200mmを超える長レンズを付ける場合は3型以上or他の三脚を使用された方が良いと思いますが、標準レンズとの組み合わせでは減振性能が群を抜いて優れています。
人が通る度微妙に揺れる歩道橋から撮影すると(必ず所轄警察署から道路使用許可申請書を頂いて下さい)よく分かりますが、カメラへの振動を驚く程伝えません。 本来トラベラーの利点は脚部180度回転によるコンパクトな収納なのですが、安定性にも文句の付けようがありませんね・・・ 流石スチル三脚では一強と言われるGITZOです。
GT2542T+SL-50ZSC
雲台は梅本製作所の中タイプ自由雲台SL-50ZSCを使用しています。自分がこの雲台を使用しているのは、家に一番近いカメラ店がフジヤカメラ(唯一の店舗取扱い)だから。という単純な理由ですが、熱狂的なファンから支持されている雲台でもあります。
SL-50ZSCをひと言で表すと、『クッすうううううううクッ』ですね。
※ある程度『軽い力』で止まる
※高精度で非常に滑らかな動き(でもアルカスイスの方が好みの滑りです)
※止まったら動かない。
※ノブ操作が1つ(締め付けを僅かに緩めると、他は固定されたまま最初にパン操作のみ可能になります)
※左右どちらにノブを持ってきてもパン制限が無い
の5点が特徴となっています。その他にもコルクラバーに剛性体を配置して安定性の持続化を図ったり、カメラネジをステンレス製ではなくカメラの雌穴に優しい真鍮配合タイプにしたりetc….
自分の知識では理解出来ない事も多いのですが、細部まで拘り抜かれた雲台でありながら廉価という・・・まさに日本技術者の哲学が詰め込まれた雲台です。技術的な所に興味がある方は梅本製作所のHP(コチラ)を見てください。かなり細かく書かれていますよ。
GT2542T+SL-50ZSC+6D+50mmF1.4 神宮外苑銀杏
逆にこの雲台の欠点をひと言で表すと・・・『THE自由雲台』である。ということです。
※アルカスイス、マーキンスの様にフリクションのリミッターが無い為、自分の好みに機械を調整する使い方というよりも、機械の動きに手先を合わせていく慣れの期間が必要
※カックンとお辞儀させてしまう事がある(上記理由のため)
※非常に滑らかですが、背筋がゾクゾクするホイール感では無い
※クイックシュータイプ雲台(SL-AZD)はアルカスイス等のクイックシューと互換性が無い
※ロゴの文字『UMEMOTO』が擦れて消えやすい
といった所でしょうか。他メーカー・・・・特に大手の作る自由雲台は、どちらかと言うと『3Way雲台の使い勝手も少し取り入れた自由雲台』を目指している様に感じられますが、梅本製作所の造る自由雲台は『THE自由雲台を極める』設計思想に感じられます。
GT2542T+SL-50ZSC+6D+50mmF1.4 表参道 けやき SS10sec
アルカスイスはコンパクトな自由雲台を販売していないので、例えばGITZO2型(28mm径)に合う様な自由雲台はマーキンス 梅本 GITZO マンフロット ベルボン スリック ヴァンガード FLM等になりますが、個人的には梅本製作所かマーキンスQ3Tを薦めたいです。
3Wayだとギア410やハスキー3Dでしょうか・・・雲台の世界も裾野が広くて難しいですね。