Nikon:レンズの全収差を測定出来る装置 OPTIA運用開始

 

あまり大きなニュースとして取り上げられていませんが、NikonがOPTIAの運用開始をアナウンスしました。 サイトはこちら

OPTIA=【Optical Performance and Total Image Analyzer】は、収差に対する取り組みの一貫としてNikonが2012年に検証していたシステム&装置ですが、僅か1年で運用に漕ぎ着けたことになります。

 Nikonロゴ

 

このOPTIAを大雑把に説明すると、『レンズの味付けを定量化する装置』です。

これまでも各社のレンズ設計には光学シュミレーションが用いられて来ましたが、レンズの味付けや奥行き感といった感性的なバランスと方向性は、設計者のセンスに殆どが委ねられています。それを解析装置で分析して、レンズの方向性を決めるというのですから驚きますね。まさに・・・コペルニクス的転回です。以前コシナの工場見学に行った際、Zeiss本社のレンズ設計思想は、収差に対する飽くなき挑戦=レンズの持つ役割と味を見極める事で、それを再現するのがコシナだと仰っていて感心しましたが、今回のOPTIAの様に科学の力でレンズの味付けまで追求しようとするのは、大手ボディメーカーのNikonらしい取り組みだと感じます。

 このニュースは、廉価レンズを求める方から最高の光学性能を求める方まで、あらゆるレンズファンが恩恵を授かる事の出来るグッドニュースですが、自分はこの話を聞いてなんだか・・・DNA解析による出生前診断を思い出しました。

プラナー構成

レンズがデータ未解析のどんな味を持って、市場でどう受け取られて成熟していくのか・・・それはDNAや個性が解析されていない子供の成長に似ています。 例えMTFの結果がイマイチで、売れるか解らないけど発売したら反響が大きかった・・・そんなレンズが世の中にはあります。 例えばタムキュー・・・3世代前のタムロン90mmマクロみたいなレンズの事ですが、そんなレンズとはもう会えなくなるのかな・・・そう考えるとちょっと残念なのです。

 

生命倫理を口にするほど野暮ではありませんし、レンズ市場の動向なんて興味薄い方ですが、深い感銘を与える個性を持った人・・・強烈な個性のあるレンズ・・・ そんな人やレンズが世の中から消えてはいけないような気がします。優秀な奴は世の中に絶対必要ですが、生まれつき優秀な奴ばかり揃えても進歩しないものですよ。オールドレンズファンの増加とか、プラナーダブルガウスの21世紀生存を見てるとそう思います。




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